浅草の名画座

私は昔の任侠映画が好きです。

新宿のJR病院に勤めていたころ、新宿南口に「昭和館」という任侠映画専門の映画館があって、時々一人で観に行きました。鶴田浩二、高倉健、観終わるたびに元気になりました。正義感がいつも湧いてきました。藤純子も美しくて、昭和残侠伝シリーズの池部良も大好きでした。その池部良も最近あの世に行ってしまいました。

昭和館はその後取り壊され、そのあとは中野の武蔵野館で東映任侠映画をしばらく観ることができました。でも武蔵野館もなくなっちゃって、たぶん私の知る限り、現在、東京でいつでも任侠映画を観ることができるのは、ここ浅草の名画座だけです。

久しぶりに行ってきました、今日見てきたのは「冬の華」、初めて観ました。1978年と新しめだけど昔の任侠映画のパターンをきちんと踏襲していて、池部良も出て、健さんもかっこよかった。小林稔侍も大滝秀治も存在感出してた。脚本はあの倉本總、監督は信州の先輩の降旗康男、汚い映画館だけれど、半分くらいお客さんで埋まってった。やっぱり、閉塞感あふれて、リーダーも誰だかよくわからないこの時代、みんな健さんのかっこよさにそれを求めるのかもしれませんね。

「かっこいいかどうか」はもちろん見かけだけのことではありません。正しいことに突き進み、卑怯なことはせず、弱きを助け、強くても悪い奴にはものを言う。でも、義理を欠いてはいけない。「自分もかっこいい男になりたい」と観終わるたびにいつも思います。

やっぱり、一人で時々観に来なくちゃなあ、と思いながら映画館を出たら、浅草場外馬券場の前にすごい人だかり、そうか、今日は有馬記念だった。一年は本当にあっという間ですね。