月別アーカイブ: 2011年4月

久しぶりの納豆と風評被害

約1か月ぶり納豆を食べました。たまたま昨日スーパーに並んでいたのだそうです。

「あー、うまい」

ふと、「そういえば納豆ダイエット捏造事件なんてのも昔あったなあ」と思い出しました。

「納豆にダイエット効果あり」と放送したテレビ番組の影響で納豆が品薄状態に、しかしその後、実は番組で使われたデータや証言がねつ造されていたということが発覚した事件。

今回の原発事故による放射線被ばくにかかわる報道や風評被害と重なりました。

情報を流す側と受け取る側、正しい情報を流す努力も大事だし、受け取る側もどれが正しい情報かを判断する能力が必要でしょう。

しかし、氾濫する情報の中でどれが正しいのかなんて簡単にはわからない。

だからメディアには視聴率や販売部数にとらわれない「良心」を持っていてほしいと思います。

一方、我々も情報を受け取るだけでなく、こういったブログやツイッターなどで、簡単に情報を発信することができる時代になりました。ということは、同じような「良心」をもってあたらないと、ますます情報を氾濫させ混乱させる可能性もあるということです。

様々な情報の氾濫による問題は、医療の世界でもあります。

病気になった患者さんは、インターネットで氾濫している情報を見て、何が正しいのかわからなくなってますます不安になってしまう。

なかなか難しい問題ですね。

いずれにせよ、、原発問題が早く終息して、日本が復興して、また毎日納豆が食べられる日が来ることを祈りたい。そのために私ができることをしっかりやろう、と思います。

関連記事⇒「各地で測定された放射線量は安心できるレベルです」「無責任な報道による風評被害に怒りを感じます」

 

大相撲、このまま夏場所開催でよいのか

日本大相撲協会は「技量審査の場」として夏場所を入場無料で開催することを決めたとのこと、なんか納得できません。本質が全く解決していないように感じるからです。

なぜ八百長が行われたのか、システムやルールに問題はないのか、今後同じようなことが起こらないような対策をどうするのか、力士や親方に対する教育は?、それらのことが全く検証されず先に進もうとしています。

文部科学省もこれでいいと思っているのでしょうか?

薬物問題、暴力問題、野球賭博、そして八百長問題。立て続けに起きましたが、このまま無策のまま進んだら必ず次なる問題が起きることでしょう

今回の八百長問題が発生したとき、「大相撲は伝統文化であり神事であるからスポーツとは異なるのだ」として、八百長を擁護するような論調もみられました。

しかし、日本相撲協会は八百長に関与したとして23人の力士や親方に対して処分を下しました。このことは、日本相撲協会が「伝統文化や神事という面もあるけれど、大相撲はスポーツである」と認めたことだと思います。

だとしたら、「スポーツの価値」を脅かすようなものすべてに対して、ルール作りや教育を行わなければいけません。

スポーツである大相撲を守るためにすべきことがたくさんあるのです。

大相撲の開催を心待ちにしている国民も多いでしょう。そのためにも、これで問題解決にしないで欲しい。

ぜひ、スポーツ界の意見も聞いて、日本人が大好きな大相撲を守ってほしいと思います。

やっぱり腰は大事ですね

4月からJISSで本格職場復帰した私ですが、ことあるごとに「腰の大事さ」を痛感しています。

今日も、午前中のメディカルチェックや午後の外来診療で、のどの中をのぞいたり、聴診器を当てたり、それだけでもかなり腰を動かしていることがわかります。

なるべく無理しないようにはしているけれど、JISSの中だけでもかなり歩きまわるから、午前中はシャキッとしていた私ですが、夕方には結構情けない姿になってました。

見かねてか、マジカルエクササイズ女医の中村格子先生が診察してくれて、ストレッチしたり姿勢や股関節の使い方などを指導してくれました。

中村格子先生から直接指導を受けました。

手術してからはや1か月半、焦ってはいないけれど、なかなかすっきりしないのはイライラはしますね。今日もJISSのリハ室ではたくさんの選手たちがリハビリに励んでいたけれど、選手たちの気持ちがよくわかる。

本当に腰は大事、やはりJISSの整形外科医・奥脇透先生が、「腰が大事だってことは、腰という言葉自体が重要なことを指すから、いろいろな腰にかかわる格言があるはずだよ」って言ってたけれど、今度「腰の格言」を調べてみよう。

日本リンピック委員会(JOC)の医療支援チーム

昨晩、日本オリンピック委員会(JOC)の医療支援の第一陣から戻ってきた、私の師匠・増島篤先生から電話がありました。

「JOCとして医療支援を行ってよかった」

「全国から集まった医療チームがうまく連携をとりながら活動していた」

「我々のスポーツ現場や海外遠征での知識や経験が役に立った。避難生活は長期に続くことが予想されるけれど、これからはトレーナーの役割が重要になるね」

JOC災害支援チームは、ドクター、トレーナー、事務員でチームを作り3月28日から大船渡で活動を始めました。

我々JOC医学サポート部会のメンバーの教え子の実家のお寺を拠点に、地元の保健師さんや全国から集まった医療チームと連携をとって、各避難所を回って活動しています。まずは、4月いっぱい活動を行う予定です。

まだまだ現地はすべてが大変な状況、長期にわたる避難所生活による運動不足などで、エコノミークラス症候群などの発生も懸念されるようです。避難生活でのスポーツ指導などがますます重要な課題になりそうです。

私はお手伝いしたくても腰の手術後まだ1か月でお手伝いできなくてとても残念。また、私のように医療支援に参加したくても、職場の事情などで参加できない医療関係者もたくさんいると思う。

でも、現場に行かなくても被災地のため日本のためにできることはたくさんあります。スポーツ選手たちもそれぞれの立場で一生懸命支援活動を行っています。みんなでニッポン復興に向けて力をあわせましょう。

熱中症、知識さえあれば計画停電も怖くない

新年度が始まりました。今年は特にいろいろな想いをもってそれぞれが新しいスタートをきったのでしょう。私も、手術をしてからちょうど1か月半、今日から職場に復帰しました。

昨日は日本テレビのニュース番組everyでコメントさせていただきました。

今回の震災の影響で夏の暑い時期にも計画停電が予想される状況、昨年は猛暑で多くの方々が熱中症でお亡くなりになりましたが、冷房が使えない状況においてどのように熱中症対策を行うか、についてコメントしました。

人間の体というのは「暑さに慣れる」ので、急に冷房が止まることが予想される場合には、そもそもあまり強く冷房をかけずに高い温度に設定して冷房が切れた場合との温度差を少なくするのがポイントです。

熱中症による死亡事故は春でも起こっていますが、そのほとんどは「急に暑くなったとき」です。また、夏のスポーツによる死亡事故も「合宿の初日」など、暑さに慣れる前に起きていることが多いのです。

さらに、本当に暑い地域、沖縄や台湾では熱中症は少ないのです。これは「暑いときには無理をしない」という習慣もあるのかもしれませんが、普段から暑さに慣れているためです。

また、温度の変化が激しくなると、体に負担になり、自律神経も不安定になるため様々な症状がでて「夏バテ」を加速させます。

昨日も収録ではそのことを一番強調したのですが、実際流れたのはそれ以外のコメント、話したことの一部だけでした。生出演以外ではいつもそうなのですが、番組の事情もあるし、そこらへんは理解しています。それよりもありがたかったのは、まだ暑くならないこの時期に熱中症を取り上げてくれたことです。

毎年、たくさんのテレビ局から熱中症に関する解説やコメントの依頼がありますが、ほとんどが暑くなってから、熱中症の死亡事故が多発してからです。

そうなる前の時期に、熱中症に対する知識を多くの皆さんに知っていただきたいと思っていました。

熱中症は予防が一番大事、そのためには、「熱中症という病気を理解していること、元気な人でも短時間で亡くなることもある怖い病気である」ということを理解していることが一番大切です。

熱中症のことを理解さえしていれば、暑い時期に無理はしないように皆が心がけますし、水分補給もしっかりしますし、今年の夏冷房が少しくらい使えなくたって恐れるに足らずです。

これからも、そのことをいろんな機会で話していこうと思います。