月別アーカイブ: 2012年2月

マラソン藤原新選手の自己管理能力

昨日は東京マラソン、藤原新選手が素晴らしい結果を残しました。

今回私は現場ではなく、のんびりとテレビ観戦でしたが、あのしぐさ、あの表情、あの走り、ほんとにかっこよかった。

藤原選手は現在私が勤務する国立スポーツ科学センター(JISS)を拠点にトレーニングをしています。

会社を辞め、スポンサーもいない中、大きな目標に向けてひたすらがんばっていた姿をよく知っています。

昨年の2月に書いたブログトレッドミルで時速20キロ?に登場するマラソン選手というのも実は藤原新選手。

そんな姿をみながら、ひとりでがんばっている藤原選手のことを応援する気持ちで23日にはツイッターにも書きました。

「先日の読売新聞で東京マラソンに出場する藤原新選手の紹介、北京は補欠、所属していた実業団をやめて貯金を切り崩しながら競技を続けている。「東京マラソンは自分の値段が決まる一戦」と。よく話しするけれど、まじめで一生懸命な男。がんばれよ!」

彼と接していて本当に感心するのは私にはとてもまねできない「自己管理能力」です。

自分の体のことを本当によくわかっていて、それを常に医学的・科学的に客観的に評価している。

定期的な血液検査も、すべて自分で検査項目まで考えて、私は言われたとおりに検査指示を出すだけ。

でも「あまり数字だけに惑わされちゃダメだよ、自分の感覚も大事だよ」という私のアドバイスもきちんと理解している。

レース前の「体の状態を、データとしてきちんと記録しておきたいんです」という彼の言葉を聞きながら、余裕や自信を感じていました。

「きっとやってくれるだろうな」と思っていました。

4年に一度のオリンピックやその選考レースに万全なコンディションで臨むのはとても大変なこと、カラダもココロも最高な状態でいるための「自己管理能力」が必要です。

それができた選手がトップアスリートということなのだろうと思います。

ひと晩あけた今日も話をしました。

大レース直後とは思えないいつも通りの笑顔。いつも通りの藤原選手でした。

これからは、注目もされて、期待もされて、騒がれることもあるのだろうけれど、周りに惑わされず、今まで通りにやればきっと大丈夫。

みんなで応援するからね。

オリンピック選手になってメディカルチェック

今日はナショナルトレーニングセンター(NTC)の大浴場・勝湯(かちのゆ)でのお話。

一仕事終えて、帰宅前11時すぎに久しぶりに勝湯へ。

サウナに入ったら、ちょうど日本テレビのニュースZEROでレスリングの吉田沙保里選手の特集をやっていました。

「2回も金メダルとって、今度は3回目のオリンピックなんて本当にすごい人だなあ」、と一緒にサウナに入っていたウエイトリフティングの選手たち。

桜井翔さんとの対談では、北京オリンピックの前、中国の大原で行われたワールドカップで119連勝がストップしたときのことが話題に。

吉田選手が負けた瞬間、私もチームドクターとしてすぐ近くにいました。

かなり落ちこんだ吉田選手が立ち直るきっかけになったのはやはり家族の一言。

「あんたが破った119人の選手たちは、みんな、今のあんたと同じ気持ちになったのよ」というお母さんの言葉で、負けが吹っ切れたのだそうです。

さすが吉田ママ!

そんないろいろな話をしながら、ウエイトリフティングの選手たちとテレビを見てました。

「ドクター、またJISSクリニックでお世話になりますからよろしくお願いします!」と選手。

「ケガや病気になんかならないほうがいいから、我々の世話になんかならないほうがいいよ」と私。

「いや、メディカルチェックで診てもらいに行きます。ロンドンオリンピックに選ばれたらメディカルチェックがありますから」

派遣前チェックといって、オリンピックに選ばれたらメディカルチェックが必ずあるのです。

「そうだな、よし、頑張ってオリンピック選手になって、メディカルチェックしような」

「ハイ、頑張ります」と嬉しそうに答える二人の選手。

二人は、お風呂からあがるときもわざわざ私のいるサウナ室の中にまで入ってきて、「お先に失礼します」と大きな挨拶して浴場を出て行きました。

ああ、さわやか。

本当に応援したい気持ちになります。

派遣前メディカルチェック、待ってるからね。

被災地での検死ボランティアとグリーフケア

大森歯科医師会で開催された講演会で、富士見高原病院の後藤敏先生の「死体検案と歯科検案支援」という話を聞いてきました。

どうして歯科医師会?

実は大森歯科医師会会長の岡本徹先生は私の高校の同級生、てっちゃん。

そして、講演された後藤先生も高校の同級生、ごっちゃん。

てっちゃんから、「ごっちゃんが東日本大震災の医療・検死支援の話をしに来てくれるからヨタ(私のこと)も来ない?」と誘われて、聞きに行ってきたのです。

医者としてとっても勉強になる、そして心に残るいいお話でした。

泥だらけのご遺体を必死できれいにする警察の方たち。

安置所でのさまざまなドラマ。

帰らぬ人となったご主人を見て泣き崩れる女性。

その傍らにずーっと寄り添い、「わたしが死体検案させていただいた後藤です」というと、その奥さんは、どんなに素晴らしい旦那だったか、ご主人との思い出などをたくさん話してくれたのだそうです。それらをずーっと聞いていた後藤先生。

そして最後に「ありがとうございました」とその奥さん。

初めて会った後藤先生だけれど、ご主人を最後に見てくれた人。

そして、亡くなったご主人の話もずーっと聞いてくれた。

いわゆる「グリーフケア」です。

大切な人を亡くして大きな悲観(グリーフ)に襲われている人に対するサポート。

とても大切な医療行為。

悲しみを吐き出す、誰かがそれを聞いてくれる。それがとても大事。

震災医療ボランティアのことはよく報道もされたけれど、死体検案のために現地で頑張っていたドクターのことはあまりよく知らなかった。

そして、安置所でのグリーフケアまでやってたのね。

すばらしいなあ。

もちろん、そのあとは高校時代の思い出を肴に、おいしいお酒をたらふく飲みながら夜は更けていったのでした。

劇団未成年第6回公演「ぎんだま商店街」

浅草橋のアドリブ小劇場に芝居を観にいってきました。

バスケ仲間の友人、劇団未成年の高橋正臣が出演する公演「ぎんだま商店街」

学生時代、松本にやってくる芝居はときどき見に行きました。信州大学の松本キャンパスでも、「劇団山脈(やまなみ)」の芝居も良く見ました。

卒業してから東京の病院で研修することが決まって、「東京に行ったら加藤登紀子のほろ酔いコンサートに行って、下北沢でアングラ芝居もいっぱい観るぞー」と思っていたけれど、研修医生活は忙しすぎて、芝居を観にいく余裕はありませんでした。

もちろん、お登紀さんのほろ酔いには行ったけれどね。

久しぶりの小劇場、昔に比べてだいぶきれいにはなっていたけれど、十分雰囲気を味わうことが出来ました。

昭和のかおり漂う人情味あふれる商店街のお話し。

逆らうことの出来ない「時代の波」、「どうして日本はこんな国になっちまったんだろうなあ」と商店会長・・・

2月19日までやってますから、お時間のある人はぜひ観にいってね!

そして、この人が高橋正臣

いい男でしょ

背も高くて、イケメンで、もちろん芝居も上手。おまけにバスケも超うまい!みなさん応援よろしくね!

帰りは、浅草橋の駅ちかくの中華料理屋で一杯。

なんと、生ビールが150円。

恐るべし浅草橋、今度ゆっくり開拓しようかな。

沖縄の離島巡り、プロ野球のアンチ・ドーピング講習会

先週の金曜日から4日間、沖縄の離島、久米島、石垣島、宮古島とまわって、きょう東京に戻ってきました。

プロ野球のキャンプ地でのアンチ・ドーピングの講習会のためです。

日本のプロ野球(NPB)では2006年からアンチ・ドーピングに取り組み、年間100-150件のドーピング検査を行っています。

今後も、「スポーツを守る、野球を守る」ために、しっかりアンチ・ドーピングに取り組もう、という話や、今年の主な変更点、うっかりドーピングにならないための注意点など、話してきました。

NPB医事委員会では、手分けして、この時期にキャンプ地でアンチ・ドーピングの講習会を行っているのです。

30分ほどの講義でしたが、どの球団の選手たちも、眠ることなく、真剣に聞いてくれました。

練習練習で疲れているのにね。感謝感謝!これからも野球界みんなでアンチ・ドーピングの取り組みましょうね。

講習会だけじゃあなくて、キャンプの現場も訪問、オリンピックやワールドベースボールクラッシックで一緒に戦った仲間とも久しぶりの再会。

みんな、私を見つけては声をかけてくれてうれしい。

楽天の星野仙一監督も、「おーコマッチャン、元気か~」って、北京オリンピック以来久しぶりの再会。名前まで呼んでくれて、本当にうれしい!

球場では、これまたWBCでご一緒した、伝説の剛速球投手、与田剛さんとお会いしました。

「現役時代、ケガで苦しんだとき、何にでもすがりたい気持ちになったけれど、でも、ドーピングだけはやましい気持ちを持ち続けることになりそうな気がして、絶対手を出せなかった」と。

相変わらず、さわやかでかっこいい!

沖縄はやっぱりとても暖かでした。今年はどんな若者が活躍するんだろうね。

そして、沖縄といえば青い海。

きれいだねえ。思わず松田聖子の「青いサンゴ礁」を口ずさんでしまうしまう私。

宮古島で宿泊したホテルの横には「うえのドイツ文化村」というテーマパークがありました。

どうして宮古島とドイツ??

明治6年にドイツの商船が宮古島沖で座礁難破したのを宮古島の住民が救助して、手厚く看護して、無事ドイツに帰国させたのだそうです。

その報告を受けたドイツ皇帝は宮古島に「博愛記念館」を建立しました。以来、ドイツとの深い関係。

知らなかったです。勉強になりました。

そして、ドイツ村の中には、、本物のベルリンの壁が。

ベルリンの壁崩壊後、購入して日本に運んだのだとか。

あー、我々世代としてはなかなか感慨深い。

でも、ベルリンの壁崩壊も、もはや22年以上前の話。

私が小学生の時、大阪万博のころに第二次世界大戦の話を聞くようなものですな。

そう考えると、大昔ってことなのか。う~ん、ついこの前の事と思ってしまうわたしはやっぱりおじさんなのかも。

でも、このベルリンの壁が壊れる前まで、旧東ドイツでは国を挙げてドーピング行為が行われていました。そう考えると、このベルリンの壁はアンチ・ドーピングにとっても象徴的な壁。

まじめに聞いてくれた選手たちと、青い海と、泡盛と、そして優しくしてくれた沖縄の人たちに感謝しながら沖縄をあとにしたのでした。

蓼科でアンチエイジング

こんにちは。セクレタリーKです。

1月31日、小松先生とご一緒して、長野県にあるテラス蓼科で開催された、「健美塾(けんびじゅく)」という、イベントに参加してきました。

テレビでもお馴染の鎌田實先生と抗加齢医学会理事長の吉川敏一先生の講演があり、興味深いお話をお伺いしました。

最近良く耳にする幸せホルモンと呼ばれている「セロトニン」。ご存知の方も多いのではないでしょうか? 自分自身が美味しい物を食べたり、キレイなものを見たりすると、分泌されます。

そして、もうひとつ「オキシトシン」という幸せホルモンもあって、こちらは自分ではなく、人のための何かをすることで分泌されるそうです。例えば、お母さんが赤ちゃんにおっぱいをあげている時には、お母さんにはたくさんオキシトキンが出ている! 時々、自分へのご褒美に美味しいものを食べて、少しでもいいから誰かのためになる事をするのが、自分の健康にもつながるなど、ストレスの多い現代社会を乗り切る様々な健康維持のヒントを学ぶ機会となりました。

講演会の後は、を素敵な音楽をバック地元の野菜をメインに使った美味しいお食事にいただきました。

食事会の時に、小松先生もイベント参加者のみなさんにご挨拶。

「ロンドンオリピックにむけて、選手たちが力いっぱい戦うことができるように頑張っています。皆さんもぜひ応援してくださいね!」と、オリンピックに向けてがんばる選手たちの様子をユーモアを交えてお話しされ、会場を大いに盛り上げていました。ブログをご覧のみなさまも注目してくださいね。

今回のイベントをコーディネイトしたのは、小松先生と仲良しの医療ジャーナリスト宇山恵子さん。楽しいひとときをありがとうございます。

美しい自然に囲まれて、美味しいお食事味わい、アンチエイジングの知識も学べる。この素敵なイベントは第2回、第3回も予定されています。興味のある方はこちらをチェック。