保育園待機児童問題

 待機児童問題がテレビや新聞で大きく取り上げられています。私が理事を務める厚生労働委員会でも、与野党問わず多くの議員がこの問題で質問に立っています。

 待機児童とは、保育園に申し込みをしたが、入園できなかった子供のことです。3月28日に厚生労働省が発表した調査によると、昨年10月1日時点の待機児童数は、全国で4万5,315人に上っています。

 待機児童は今に始まった問題ではありません。昭和60年に成立した男女雇用機会均等法により、女性の社会進出に対する取り組みが積極的に行われるようになりました。その結果、働く女性が増えたことで保育園の需要も増加し、待機児童問題が顕在化しました。

 最近になって連日のようにメディアでクローズアップされるようになったのは、2月29日に行われた衆議院予算委員会での議論がきっかけです。この日、2月中頃からインターネット上で話題になっていた、「保育園落ちた日本死ね」と題するブログが取り上げられました。

 「子供を保育園に入れられなかった母親によるもの」としてインターネット上で話題になっていたこの匿名のブログをめぐって、安倍総理が「苦しい思いをしている人がたくさんいることは承知している」と述べる一方で、「匿名である以上、実際起こっているか確認しようがない」と答弁。このことが、その後の報道で取り上げられ、政府の対応に批判を招く結果となりました。また委員会での自民党議員からのヤジも、よくなかったと思います。

 しかし、政府・与党はこれまで待機児童問題に手をこまねいていたわけではありません。平成25年4月に、「待機児童解消加速化プラン」を策定。25年度からの2年間を「緊急集中取組期間」と定め、約21万9,000人分の保育の受け入れ枠拡大を達成しました。それまで年3~5万人程度だった保育拡大量を、自公政権復帰以降は年10万人程度まで拡大しました。

 これだけ保育定員が拡大しても保育園に子供を預けることができず、辛い思いをされている方が数多くいらっしゃることも承知しています。待機児童の解消に、今後も保育園を増やしていくことが重要なのは言うまでもありません。それには、何よりもまず保育士が必要です。

 待機児童に関連する問題として、長年低待遇に置かれてきた保育士の待遇改善も必要です。児童福祉の専門職としての高い専門性と、就学前の子供の命を預かる重要性とに見合う待遇に、改善していかなければならないと考えています。

 また保育園の数や定員だけが増えて、保育の質が低下しては元も子もありません。保育の質を保ちながら着実に保育定員を拡大し、質と量の両面で待機児童問題を改善していくことが重要です。

 誰もが安心して子供を産み、育てることができる社会を創ることは、私たち国会議員に課せられた責務です。とりもなおさず、待機児童問題は女性の活躍推進にも、また少子化対策にもつながる、大変重要なテーマです。この待機児童問題に、私も力を尽くして取り組んでまいります。