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レスリングの世界選手権が幕を閉じました

トルコ・イスタンブールで開催されたレスリングの世界選手権、7日間の熱い戦いの幕が閉じました。

選手、コーチ、サポートスタッフ、メディア関係者を交えた打ち上げが終わり、今ホテルに戻ったところ。

今日はフリー66kg級で米満達弘選手が見事銀メダル、ロンドンオリンピック出場枠を獲得しました。

でも決勝戦は残念だったなあ、本人も悔しいだろうなあ、一番と二番では天と地ほどの差があることも実感しました。きっとこの悔しさはロンドンで晴らしてくれると思います。

世界で戦う選手たちを見ていていつも感じるのは、絶対勝ってやるという強い気持ちが大事だな、って事。

気持ちは目にあらわれるから、睨みつけられただけで尻込みしてしまうようなメヂカラが必要なのです。

見よ、御大・富山英明さんなんかオリンピックの金メダルから30年近くたった今でもこの鋭い眼光。

昔、この目で睨みつけられたらさぞかし怖かったんだろうなあ。

ということで、あっという間の一週間でした。選手、コーチ、そして選手をサポートしてくれたスタッフ、メディアの皆さん、本当にお疲れさまでした。

ここで一気に写真公開。

昨日書いた、プロ根性カメラマンの保高幸子さん、もっとアップの写真が見たいというご要望におこたえして。

今は学校の先生をやっているアテネ、北京のメダリスト、伊調千春もイスタンブールまで応援に来てくれました。

そして会場にはイスタンブール日本人学校の生徒たちの姿も。

みんなみんなありがとう。

それでは、明日元気に日本に帰国します。

そして、次は東京で開催される体操の世界選手権です。みんな応援してね。

写真家・保高幸子のプロ根性

2日前のことです。隣りにいたレスラードクターの中嶋先生に言いました。

「ちょうどいま決勝の前でマットが空いているから僕の写真撮ってよ」

ホームページの写真を新しくしようとジャージ姿の写真をどこかで撮ろうと思っていたのです。

レスラードクター中嶋の前でポーズをとる私。

「なかなかうまく撮れませんねえ、あっ、あそこに保高さんがいるから撮ってもらったらどうですか」と中嶋先生。

保高さんは先日も紹介したレスリング協会の広報の手伝いもしてくれているカメラマン、ときどきテレビにも登場する有名人です。

決勝の前でまだ時間があったので保高さんにお願いしました。

「かっこいいジャージ姿をとればいいわけね」こころよく引き受けてくれた保高さん。

でもやっぱり彼女はプロのカメラマンでした。

このおじさんのジャージ姿をかっこよく撮るなんて至難の業、いつも選手たちの美しい肉体ばかり目にしているからなおさらでしょう。

気軽にお願いしたつもりが、途中から彼女の「プロ根性」に火がついてしまいました。いくら僕相手でもいいかげんな写真など撮れなかったのです。スタンドから会場のマットの横、最後は通路と背景を変えて20分近く、見事ないい男??が出来上がったのでした。

じゃじゃーん

どうです。何が違うのかわからないけれど絶対にシロートにはとれない写真、まさしくプロの技ですね。

どんな仕事でもそうだけれど、プロが働く姿ってのはかっこいい。

保高さんも、撮影しているうちにだんだん目が変わってきてとてもかっこよかった。

気軽にお願いしたつもりが、本当のプロにただで撮ってもらっちゃいました。

申し訳なくて、「じゃあこのお礼は僕のカラダで」って冗談で言ったら、「遠慮しときます」だってさ。

そりゃそうだな。

カラダで払えるくらいのいい男にならなくっちゃ、とあらためて思った私でした。

女子レスリングチーム帰国

イスタンブールは相変わらずさわやかないい天気です。

大会最終日の朝を迎えました。

昨日は戦い終えた女子チームが帰国しました。

女子はオリンピック階級の4階級のうち3階級で金メダルを獲得しましたが、浜口京子選手だけは残念な結果でした。

会場にはいつものように大応援団とお父さんとお母さん、懸命な応援にもかかわらず2回戦で姿を消す結果になりました。

もちろん一番悔しかったのは本人。力を発揮するまもなく、いつの間にか終わってしまった大会。試合当日はかなり落ち込んでいたけれど、昨日はもういつもの元気な浜ちゃんに戻ってました。

これからオリンピック出場権を目指した戦いが始まります。

まずは心と体をゆっくりと休めてね。応援するからね。

ドクターレスラー中嶋耕平

昨日の日本選手たちは期待どおり活躍、ドーピング検査の付添いで大忙しの夜になりました。

ちょっとひやひやした場面もあったけれど、沙保里も馨もすごいねえ。貴子も最後はきっちり勝って銅メダル。

さて、今回の世界選手権でも私と一緒に来ているのが整形外科の中嶋耕平ドクター。

気は優しくて力持ち、穏やかなしゃべり方で決しておこらない、スポーツ選手たちみんなに信頼されるドクター、私と一緒に国立スポーツ科学センター(JISS)で普段は働いています。

さらに中嶋ドクターは格闘家でもあります。かつては柔道選手、レスリングの帯同でも選手やコーチと一緒にスパーリングもやっちゃうのです。

私のようにマットの上でじゃれ合うのとはわけが違います。

この中嶋先生のスパーリング相手がグレコローマンの伊藤コーチ、髪形や雰囲気がそっくりでよく間違えられます。

ついでにペアーで横顔も。

ほらそっくりでしょ。

誰もドクターだとは思いません。でも私よりよっぽど頼りになるドクター。あと3日間、一緒にしっかり頑張りましょうね。

それから、こちらは昔からレスリングをみてくれている男子の川崎トレーナー。

かっこイー!

そして、こちらが女子トレーナーの高橋さん。

それから、レスリングメディカルの元締めの増島親分と私。

ということで、きょうもメディカルチームのチームワークはバッチシです。

それでは、会場へ向かいます。

今日は浜ちゃん、「気合だあぁー」

選手の頑張る姿を応援する人たち

昨日は大会3日目、ようやく金メダル、日の丸が揚がり君が代が会場にながれました。

よかった。これで日本チームにいい流れがやってくるでしょう。

大会会場は地元トルコの選手が登場すると割れんばかりの大声援です。

男たちは国旗を振って大きな声で応援します。

そして、女性はじっと見つめて静かに祈る。なんかいいねえ。

選手たちを応援するといえばこの人たちのことを忘れてはいけません。

日本レスリング協会の広報の面々、樋口さん、増渕さん、そしてカメラマンの保高さん矢吹さん。

新しくなった日本レスリング協会のホームページhttp://www.japan-wrestling.jp/も担当しています。

今回の世界選手権も詳細は協会のホームページに毎日アップされますから、ぜひ覗いてくださいね。

「選手たちの頑張っている姿を正しく伝える」これはとても大切な仕事です。

今大会でも、みんな朝から晩まで寝る時間もないくらい忙しくやってくれています。

がんばっている選手たちが好きで、レスリングが好きで、スポーツが好きでなければできないこと。

だから、選手やスタッフからの信頼も厚いのです。

「レスリングやスポーツの素晴らしさをたくさんの人に知ってもらいたい」という思いは我々と同じ、お互い頑張りましょうね。

ということで、樋口さんと増渕さんを隠し撮り。そのうち保高さんや矢吹さんものっけちゃいますよ。

よし、今日もメダルラッシュでドーピング検査三昧を期待しよう。

これから会場に向かいます。

JISSのマルチサポート

今日は5時半に起床しました。イスタンブールの朝焼けは今日もとてもきれい。

昨日は大会第2日目、日本チームには厳しい結果。「結果がすべて」の世界だからね。今日から巻き返しますよ。

ロンドンに向けて競技団体を多方面から支援する「マルチサポート事業」、今大会でも国立スポーツ科学センター(JISS)から、映像や栄養のサポートのために支援に来ています。

映像サポートはiPadを選手たちに渡して対戦相手の映像がすぐにみられる仕組み。日ごろから世界中の選手の映像の蓄積していて、会場でそれをすぐに見ることができます。

栄養サポートは、計量後の食事や試合当日の食事を選手やコーチの要望に合わせてサポートします。

昨日も減量して計量をパスした選手に、消化の良いおにぎりや熱い味噌汁などが届けられました。

そして、そのあと選手団のホテルに移動すると、大きなホテルの一室を借りきったリラックスルームが用意され、そこには作りたての親子煮、うどん、肉じゃがなどのご飯が進むおかずがたくさん。もちろんこれらはJISSのサポート隊の気持ちがこもった手作り。

JISSのマルチサポートの連中は、本当に一生懸命にやってくれています。

こちらは、木名瀬コーチと打ち合わせする元永さんと斎藤さん。

エプロン姿がいいねえ。

現場の状況をいかに良く理解するか、サポートにとって大切なのはこのようなコミュニケーションです。

毎日のようにこのブログに登場する木名瀬コーチ、実は料理も達人。

今回もマイまな板やマイ包丁などを持参、昨日も玉ねぎ入り特製ラーメンをごちそうになりました。

しかし、外国や山で食べる即席ラーメンってどうしてこんなにうまいんでしょうね。

よし、今日も一日がんばるぞ。

打倒、栄和人!

今朝は4時半に起床、イスタンブールは連日さわやかな天気です。

でも、日本ではまだまだ熱中症の事故が起きている模様。

昨日もフジテレビから電話があり、「倒れた二人とも、具合が悪くなって休んで、そのあと再び運動に参加して倒れてる。運動復帰の目安は?」との質問でした。

そんなときに一番客観的に判断できるのは、脈拍と体温です。熱中症の時脱水状態が続いていれば脈拍は早いままです。安静にしても脈拍が元に戻らなかったらまだ「脱水状態」ですから運動復帰は慎重に。たぶんコメントが放送されているだろうと思います。

イスタンブールのきれいな朝焼けをカメラに収めました。

きれいな朝焼けを見ながら、女子監督の栄和人さん、コーチの木名瀬さんと話しました。

昨日から始まった男子グレコローマン、厳しい結果のスタートとなりました。

「女子は勝って当たり前とみんな思っているかもしれないけれど、何が起こるかわからないからな。絶対気を緩めずにいかなきゃな」と栄監督。

栄監督と初めて会ったのは6年前、トルコ・イズミルでのユニバーシアード。初めてレスリングシューズを履いてマットの上で取っ組み合いをさせていただきました。

その時から私の目標は「打倒、栄和人!」まずは、バックをとって1ポイントです。

相手は世界選手権のメダリストですから、勝てるわけがないのですが、最近「打倒栄和人作戦」が見えてきました。

体も気持ちも若い栄監督ですが、やはり6年前よりは動きが悪くなったような・・・

そうです。お互いの老化現象をうまく利用して勝つ。すなわち、今はかなわなくても、若くて元気でいれば10年後20年後には勝つことができるのではないか。

長い目標を立てて、いつまでも元気でいる。これがこの作戦成功のコツです。

「だったら、二人とも長生きしなくちゃな」と栄監督。

そうですね。お互い元気で長生きしましょうね。

ということで、打倒栄和人に向けてさっそく選手たちとジムでトレーニングです。

よし、腰の調子もいいぞ。目標も決まったからコツコツやらなきゃね。

一緒にいるのは、今回代表選手たちのスパーリング相手として支援に来ている長沼選手と坂上選手。

たくさんの人たちが選手を支えています。

それではこれから試合会場に向かいます。

体をはって生きる

レスリングの世界選手権、今日もイスタンブールは雲一つない快晴です。

今朝も朝5時半にモスクからの「天からのお告げ」で目が覚めました。

ツイッターで競泳の松田丈志選手からは「小松先生の体をはった雰囲気づくり、期待しています」とありがたいお言葉。

よし、体をはって頑張るぞ。まあ体をはった雰囲気作りってのは何なのか一言でいうのは難しいけれど、「選手と一緒に我々も戦っているぞ」という気持ちが大事。もちろん「裏方」としての身分をわきまえたうえでね。

昨日は女子チームの初練習、会場には男子フリーの連中もいて、各国の男女入りみだれてのマット練習でした。

今日も元気なおなじみスキンヘッドの栄和人監督、ん・・、今日はなぜか毛が生えてるぞ。

体をはっているといえば、この木名瀬コーチ。私の同期だから、もちろん「飛んでイスタンブール」はよく知っている世代だけれど、まだまだ元気。体じゅう痛いだろうけれど毎日選手たちと体をはったスパーリングです。

木名瀬コーチは優しくて力持ち。長年女子チームの指導をしているけれど、選手の気持ち、女心もよくわかっている。だから選手たちもとても信頼しています。

今日もなにやら選手にいい話をしているらしいところをキャッチ、本当にいい男だねえ。

そして、夜は国際レスリング連盟主催のディナーパーティーに参加してきました。

同じテーブルには、現在モンゴルレスリング協会の名誉会長を務める元横綱の朝青龍さん。

この人も体をはって生きてきた人。

初めてゆっくりお話しさせていただきました。

とても気さくで、礼儀正しくて、相手の話もよく聞いて、魅力的な人。思っていた印象と違ってちょっとびっくり。

実際会って話をするととすごくいい人、ていうのはよくありますね。まあその逆もたまにありますが。

いろいろな苦労もされたろうけれど、でもあれだけの地位を築くのに相当努力をされたことは間違いない。

これからは、日本やモンゴル、世界の格闘技やレスリングの発展のために力を尽くしてくれると思います。

むたい俊介アワーvol17

まだまだ暑い日が続いていますが、みなさま体調など崩されていませんか?

小松先生は、中国深センでの第26回ユニバーシアード競技大会に引き続き、現在トルコ・イスタンブールでレスリングの2011年世界選手権の帯同に行かれています。これは、来年のロンド五輪の出場予選を兼ねた大会でもあり、日本人選手の活躍が大いに期待されていますので、ご注目ください。

少し前になりますが、長野県でご活躍されているむたい俊介さんのUSTREAM「むたい俊介アワー」に、同じ長野県出身ということで、小松先生がゲストとして登場しました!

熱中症の予防のお話から、一流のスポーツ選手の姿勢、今後のスポーツ振興について、さらに、なぜスポーツドクターになったのかなど、小松先生がざっくばらんにお話されています。

ぜひ、ご覧ください!

飛んでイスタンブール

レスリングの世界選手権の帯同でイスタンブールに来ています。

約12時間のフライト、空港に着いて荷物が出てくるまでの間、「飛んでイスタンブール~~」って歌っていたら

「ノリノリですね。でもなんですか?その歌?」と吉田沙保里。

そうか~、おじさんにとってイスタンブールと言えば庄野真代。でもよく考えたら30年以上前。

彼女たちにとって生まれる前にヒットした歌なんか知らないのは当たり前なのであった。

でも京子ちゃんだけは知ってた。エライぞ京子ちゃん。

空港からバスでホテルまで移動。バスから見える景色はやはりなんとなくイスタンブール。

隣りに座っていた御大、高田裕司さんが「おれが世界選手権で初優勝したのはこのイスタンブール、その時は屋外の会場でテントを張って試合してたよ」と。

テントのイスタンブールの世界選手権は1974年、庄野真代の飛んでイスタンブールは1978年。それほどかわらない。

そう考えると、私ってやっぱりおじさんなのね。まあその自覚が大事だな。

今朝は5時半に町中に響くような大きな音で目覚めました。どうやらイスラムのモスクからのようです。

「なんか天から聞こえてくる神様のお告げのようですね」と同室の木名瀬コーチ。

よし、この神のお告げで明日から早起きするぞ。

朝食の時に紹介された日本選手団の通訳ムサさんに聞きました。

「あの大きな声のことを一言で説明するのは難しい。イスラムは一日5回お祈りするのでそのたびに聞こえる。神の声でもあるし、礼拝を呼びかける声でもある。」

でもほとんどの選手たちにはあんな大きな声も聞こえなかったらしい。

選手たちが初日からぐっすり熟睡できている証拠、シメシメ、出だしは好調だぞ。

来年のロンドンオリンピックに向けた大事な大会、男子グレコローマンは12日から、女子は14日から、そして最後は男子フリー、16日からです。

みなさん日本から応援してくださいね。