健康や子育て、スポーツなどさまざまな情報を提供するwebマガジン「MELOS(メロス)」に、私が監修した記事が掲載されました。
「暮らしに役立つ医学知識」カテゴリーアーカイブ
とても順調に回復しています
今朝の信濃毎日新聞には「小松裕衆議院議員が入院」との記事が。
地域の代表として責任ある立場だから、記事になって当然です。
昔から、政治家は健康面のことについては隠す傾向にあったように思います。
しかし、今回の入院では、私は自分の病状に関して隠すことなくその通り伝えよう、と思いました。
医者のくせに体調管理ができなかったという未熟な点をさらけ出すことになっても、地域を代表して国会に送り出していただいている身です。正確な自分の状況をきちんと発信することが義務だと考え、昨日のブログでも詳細に書きました。
ただし、今日の新聞を見て「医学的な情報には補足説明も必要だな」と感じました。
「小松氏は22日に入院し、気道確保のため気管を切開する手術を受けた」と書かれていましたが、これを見て「これは大変なこと」と心配して連絡をくださった方もたくさんいました。
確かに「気道確保」、「気管切開」、「手術」というような言葉が並ぶだけで、重症感たっぷりです。
入院した22日の私の状態は、扁桃腺炎(扁桃腺がばい菌の感染で腫れること)が進行し、のどの奥にばい菌が感染し、一部は小さな膿瘍(うみ)になり、それらのためにのどの奥が少し細くなっている状態でした。水を飲むことはできませんでしたが、呼吸は全く問題ありませんでした。
すぐに、点滴による抗生物質の投与を開始しましたが、この薬による治療(保存的治療といいます)がこの病気のまずは第一選択の治療です。
通常は薬が効いてのどの腫れは治まってゆくのですが、そうならないこともあります。薬が効かなかった場合には、ばい菌の感染が急速に広がり、のどがはれ上がり、それにより呼吸困難に陥ることがあるのです。その場合には気道確保のために緊急的に気管切開を行わなければいけなくなります。
私が入院したのは週末の金曜日、万が一薬が効かなかった場合には緊急的な気管切開を人手が手薄な土日にやらなければいけなくなるのに加え、ばい菌の感染が進行してからでは手術もより難しくなります。
というわけで、受け持ちの先生と相談して、薬が効かなかった場合の最悪の事態も考えて、より安心できるように「予防的に気管切開をおこなった」のです。病状が悪くて、呼吸ができなくなったから気管切開を行った、のではありません。
翌日から症状はどんどん良くなりましたから、実は今回は「気管切開」は必要なかったということになりますが、それはあくまで結果論。傷跡は残ることになりましたが、正しい選択であったと思っています。
医療の場面では、このように即座に選択をしなければいけない場面がたくさんあります。決断力がとても大事です。
もちろん、「決断力」は政治の世界でも大事なこと、本日も、補正予算案が参議院本会議で1票差で可決されました。
「決められない政治から脱却する第一歩となった」との安倍総理のコメントが印象的でした。
話がそれましたが、私は極めて順調に予想以上に早く回復しています。
今日から普通に食事もとれるようになりました。のどの痛みもほとんどありません。明日には、気管切開した部分も縫合して閉じる予定です。
「口から食べられる幸せ」を実感している今日の小松なのでした。
入院してしまいました。ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。
入院中の病院のベッドから書いています。
先週金曜日、22日に緊急入院しました。
病名は「頸部膿瘍(けいぶのうよう)」、扁桃腺炎が悪化してその奥までばい菌が入り込んで、頸部(首)の深部にばい菌による膿(うみ)がたまった状態です。
一週間前から、風邪でのどの痛みがありました。でも、元気でしたし、地元でのあいさつ回りや街頭、自民党本部での朝8時からの部会なども無理せずにできていたつもりでした。
念のため抗生物質も飲んでいたので、ちょっと油断していました。
木曜日21日の夕方から突然症状が増悪しました。
16時からスポーツ議連総会に出席してから、長野に向かう新幹線の中で水も飲めないほどのどが痛くなってきました。
長野での会合で必死の思いであいさつを終え、東京に戻り薬を飲んで寝て、翌朝8時からの会議には出ましたが、やはりこれはおかしいと病院の耳鼻科を受診しました。
スコープでの観察、CT、血液検査などの結果、上記診断で緊急入院となりました。
入院後、抗生物質の点滴投与を行いながら様子を見ましたが、半日で病状がさらに悪くなったために、22日の夜に予防的に全身麻酔のもと「気管切開」を行いました。
「気管切開」というのは、ちょうど首の前を通る気管(のどから肺につながる空気の通り道)を切開し、そこからチューブを挿入することです。
つまり、呼吸がのどを通らずに、首の前にあけた穴から行われるようにする処置です。
首の奥(深頸部といいます)にばい菌の感染が及ぶと、短時間でのどの奥がはれ上がり、呼吸困難に陥ることがあります。
万が一、そのようなことが起きてもあわてることがないように、受け持ちの先生と相談の上、22日夜に気管切開を決断しました。
幸い、その後の治療が功を奏し、症状や血液データも改善し、熱も出なくなりました。そして、今日から水分の摂取も許可され、気管切開のカニューラ(チューブのこと)をスピーキングカニューラに交換していただき、今日の午後には声も出せるようになりました。
このまま順調にいけば、今週末には退院、来週から公務に復帰できると思います。
しかし今回のこと、地域の代表として責任ある身でありながら、自身の体調管理もしっかりできなかったことに関して、深く反省しています。
そして、多くの約束をキャンセルせざるを得なくなり、たくさんの方たちにご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません。
確かに、この4か月間、ほとんど休みのないハードスケジュールではありました。
しかし、体力には自信があっただけに、「すべてに過信は禁物」と反省しました。
「医者の不養生」とよく言いますが、まさにその通りです。
ごあいさつ回りしていても、多くの方から「体だけには気をつけてくださいね」と声をかけていただきますが、特に公人として健康でいることの大切さを痛感しました。
安倍総理大臣の訪米、オバマ大統領との会談、そしてTPP交渉入りに加速との報道。
しかし、TPP交渉参加には基本的に反対で自民党内のTPP反対議連にも入っている私としては、腑に落ちない点もいくつかあります。
農業や山村風景はもちろん、国民皆保険制度も絶対に守るべきもの、「聖域」とはいったい何を指すことになるのか。
今日も事務所にはTPP関係の電話がたくさんかかっているとの報告を受けています。こんな大事な時に入院していて、関係者の皆様、本当に申し訳ありません。
一日も早く、きちんと治してから復帰します。
そして、これからは決して無理せず、体調管理に気を配ります。
そして最後に、「風邪は万病のもと」といいますが、これもまさにその通り。
皆さんも気をつけてくださいね。
スポーツ選手と花粉症
IT mediaエグゼクティブに連載中のコラム更新されました。
花粉症の人にはつらい季節、実は私も花粉症。
学生時代、春休みに電車に乗って東京に出てくると、いつも東京に近づくにつれてハクションの連発。
「都会アレルギー?」なんて思ったけれど、これが花粉症の始まり。
でも、きちんと治療すれば大丈夫。
合言葉は、「バレンタインデーから抗アレルギー薬」
選手たちもつらい症状を我慢する必要ないよ!
読んでみてね!
★ITmediaエグゼクティブ小松裕の「スポーツドクター奮闘記」更新!
この夏の熱中症対策
今日は朝から選手の有酸素運動能力の測定、そのあと雑誌の取材を受けました。
ビジネスマンの読者が多いこの雑誌、この夏、計画停電も予想され、冷房も制限される状況でいかにして熱中症を予防して暑さを乗り切れるか、というテーマ。
熱中症に関する取材は毎年あるのですが、いままでこの時期に受けることはほとんどありませんでした。
しかし、今年は原発事故もあって暑い時期の電力不足や計画停電が予想されるため、もうすでに何件か取材を受けました。
これは、少しでも多くの人に熱中症に関する知識を持ってもらって、熱中症による死亡事故を減らしたいと活動してきた私にとってはとてもありがたいこと。
熱中症は死亡することもある病態、しかし、しっかりとした知識を持っていれば、予防できる病気です。
熱中症の発生が一番多いのは、梅雨明けの急に暑くなった7月です。人間は「暑さに慣れる」ので、8月になればだんだん熱中症の発生は減ってきます。ですから、今の時期からの熱中症に関する啓発活動はとても意味があることなのです。
今年の夏は様々な暑さ対策グッズや暑さを和らげるシャツや下着なども出て来ています。
今から十分な準備をして、そして熱中症予防のための知識をしっかり持って、この夏を乗り切りたいものです。
熱中症に関する情報は、環境省のだしている「熱中症環境保健マニュアル」が一番詳しく、データも最新で、わかりやすいです。
一度是非ご覧ください。
熱中症、知識さえあれば計画停電も怖くない
新年度が始まりました。今年は特にいろいろな想いをもってそれぞれが新しいスタートをきったのでしょう。私も、手術をしてからちょうど1か月半、今日から職場に復帰しました。
昨日は日本テレビのニュース番組everyでコメントさせていただきました。
今回の震災の影響で夏の暑い時期にも計画停電が予想される状況、昨年は猛暑で多くの方々が熱中症でお亡くなりになりましたが、冷房が使えない状況においてどのように熱中症対策を行うか、についてコメントしました。
人間の体というのは「暑さに慣れる」ので、急に冷房が止まることが予想される場合には、そもそもあまり強く冷房をかけずに高い温度に設定して冷房が切れた場合との温度差を少なくするのがポイントです。
熱中症による死亡事故は春でも起こっていますが、そのほとんどは「急に暑くなったとき」です。また、夏のスポーツによる死亡事故も「合宿の初日」など、暑さに慣れる前に起きていることが多いのです。
さらに、本当に暑い地域、沖縄や台湾では熱中症は少ないのです。これは「暑いときには無理をしない」という習慣もあるのかもしれませんが、普段から暑さに慣れているためです。
また、温度の変化が激しくなると、体に負担になり、自律神経も不安定になるため様々な症状がでて「夏バテ」を加速させます。
昨日も収録ではそのことを一番強調したのですが、実際流れたのはそれ以外のコメント、話したことの一部だけでした。生出演以外ではいつもそうなのですが、番組の事情もあるし、そこらへんは理解しています。それよりもありがたかったのは、まだ暑くならないこの時期に熱中症を取り上げてくれたことです。
毎年、たくさんのテレビ局から熱中症に関する解説やコメントの依頼がありますが、ほとんどが暑くなってから、熱中症の死亡事故が多発してからです。
そうなる前の時期に、熱中症に対する知識を多くの皆さんに知っていただきたいと思っていました。
熱中症は予防が一番大事、そのためには、「熱中症という病気を理解していること、元気な人でも短時間で亡くなることもある怖い病気である」ということを理解していることが一番大切です。
熱中症のことを理解さえしていれば、暑い時期に無理はしないように皆が心がけますし、水分補給もしっかりしますし、今年の夏冷房が少しくらい使えなくたって恐れるに足らずです。
これからも、そのことをいろんな機会で話していこうと思います。
「熱中症対策!」
昨年は梅雨明け後、猛暑が続きましたね。7月までに2万人以上の人が熱中症で病院に救急搬送され、7月17日からの2週間で216人の方が亡くなったとの報道もありました。毎年この時期にはマスコミから熱中症に関するコメントを求められ、何度かテレビやラジオでコメントしました。熱中症の危険性や救急処置、水分補給の重要性などはもっと多くの人に知ってもらわなければなりません!
熱中症の最も重症な状態を指す「熱射病」に陥ると、死亡する可能性が高いのです。かつては「日射病」などと呼ばれ、直射日光が関係する印象がありますが、熱中症は室内でも簡単に起きてしまいます。
今年の夏も昨年を上回る猛暑が予測されています。加えて、先日の震災の影響で計画停電も実施される見込みです。もちろん節電も続けていかなければなりませんが、熱中症とはどういうものなのかを理解していただいて、その上で具体的な対策をお伝えします。ちゃんと準備をすれば、熱中症は防げます!!
熱中症事故はお年寄りや乳幼児だけではない
近年の都市化によるヒートアイランド現象や地球温暖化の影響もあって熱中症に対する知識が普及しているにもかかわらず、熱中症による死亡者数は減っていません。毎年500人近くの方が亡くなっており、その多くが体温調節機能の衰えたお年寄りや脱水状態になりやすい乳幼児です。さらに、15歳前後の元気な中学生、高校生がクラブ活動中やスポーツ中などに熱中症で死亡するという事故も多いのです。
スポーツ活動中の熱中症の死亡事故は毎年起きています。「行ってきます」と元気に家を出た子どもが、次の日には変わり果てた姿で家に戻ってくるのです。家族にしてみれば、「どうして?」となかなか受け入れられません。スポーツの指導者が熱中症の知識に乏しいことが原因になる場合もあり、最近では訴訟の件数が増えています。スポーツによる熱中症事故は「無知」と「無理」によって健康な人でも生じるものですが、適切な予防措置さえ講ずれば防ぐことができるのです。
意外と歴史が浅い熱中症の予防対策
わたしが熱中症にかかわることになったのは、今から20年も前のことでした。それまで日本では、スポーツ活動中の熱中症予防に関する具体的な予防指針がありませんでした。そこで悲惨な事故を防ごうと、1991年、日本体育協会に「スポーツ活動における熱中症事故予防に関する研究班」が設置されました。そのとき、現在わたしの上司である川原貴先生に声を掛けていただき研究班に加わりました。
研究班では、スポーツ活動による熱中症の実態調査、スポーツ現場での環境測定、体温調節に関する基礎的研究などを行い、1994年には「熱中症予防8か条、熱中症予防のための運動指針」を発表しました。このガイドラインは、日本体育協会のホームページでダウンロードできますので、ぜひ一度ご覧いただけたらと思います。これらの功績が認められ、2002年には秩父宮スポーツ医科学賞を受賞しました。
今では考えられないことですが、当時は熱中症という言葉がそれほどポピュラーではありませんでした。日射病の方が一般的で、「熱中症って何かに熱中し過ぎること?」などと真面目に聞かれたこともあります。
水分補給できる環境作りを
地道な普及活動の甲斐があり、熱中症がどんなものなのか、多くの人々に広まってきました。「暑い時期にスポーツする場合には、こまめな水分補給が大事」ということもかなり浸透してきました。しかし実際には、スポーツの現場で適切な水分補給ができていない場合がまだ多いといえるでしょう。
重要なポイントは、自由に水分補給できる環境にあるかどうか。クラブ活動中に、「自由に水を飲んでもいいよ」といっても、「休憩時間に先輩よりも先に水が飲めない」、「すぐ近くに水がない」、「水ばかり飲んでいたらだらしがないと思われる」といった、水分補給を邪魔する要素がまだまだ存在します。実際に下級生ほど熱中症による死亡事故が多いというデータもあります。スポーツの現場では、いつでも水分補給できる環境や、いつでも水分補給できる雰囲気を作ってあげることが肝要です。
熱中症になるかどうかは、その日の体調も大いに関係します。寝不足、きちんと食事が取れていない、下痢や風邪などの状態は熱中症になりやすいのです。「前日に遅くまで飲んで、寝不足のまま朝食も取らずにゴルフに出発。炎天下でプレイして昼にビール」――これは最悪のパターン。ビールは利尿作用もありますから脱水をさらに助長します。
暑い日時期をむかえても、皆さんも「こまめな水分、塩分補給」と「外出前、運動前にコップ1杯の水」を心掛け、決して無理せずに夏の暑い時期を乗り切ってください。
各地で測定された放射線量は安心できるレベルです
今朝JISSクリニックに届けられる二つのスポーツ新聞の一面の見出しを見てびっくりしました。
「原発爆発、火災、230キロ先東京まで放射線拡散」、「浴びる量高くなると発がんの恐れ」、「原発放射能漏れ、広域拡散も」、「すでに関東各地で通常の10-100倍の放射線量観測」、「専門家はいずれも人体に影響ないレベルというが・・・」
何を目的に、このような不安をあおるような書き方をするのだろう。
昨日報告された東京・新宿での放射線量は毎時0.809マイクロシーベルト。すなわち、この量を一日中浴び続けると19.416マイクロシーベルト、一年中浴び続けたとしても7086マイクロシーベルト、すなわち約7ミリシーベルトになります。
我々医学の専門家からすればこの数値は「原発の爆発にもかかわらず、むしろ心配な放射線拡散はない。安心できる」と判断できる量なのです。
私はレントゲンの透視下で内視鏡などを使って治療をするのが専門でしたから、自分の被ばく量を毎月計測していました。職業被ばくで許される被ばく量は年間50ミリシーベルトですが、たくさん検査や治療をしなければならなかったときは、被ばく量がひと月に10ミリシーベルトを超えることもありました。もちろんこのような場合は、被ばく量を減らすように勧告を受けるわけですが、昨日東京で観測された放射線量は、1年中浴び続けても、かつて私がひと月で浴びた放射線量にも満たないのです。
本日報告された各地の放射線量も全く安心できるレベルです。今日の夜のニュースではやはり不当な風評被害で被災地に物資が届かないという状況も起きているようです。不確実な情報に踊らされないでほしいと思います。
どうか皆さん、安心してください。